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タブレットコレクション(4) WACOMタブレットの歴史(仮)  ~Intuos前史0.5~
とうとうWT-460Mが手に入りました!

 どうもまきのです。
 現在主な更新ネタになっている「WACOMタブレットの歴史」ですが、WACOMタブレットの歴史の原初はWT-460Mという機種であることはタブレットの歴史 第1回で書きました。

 そのWT-460Mを今回、とうとう入手することができたのです!!!!!!!!!
 
 これはwwwwwwwww
 草生えてる場合じゃねーーーーーーーーー!!!
 やったーーーーー
 これはすげーよ!!
 自称・WACOMタブレットコレクター卒業ですよ!
 一端のWACOMタブレットコレクターとして胸を張れるレベルになりましたよ(自己採点)
 ありがとう!
 ありがとうみんな(謎)


 ・・・・・・と、いうわけで。
 WACOM社の最初のタブレットであるWT-460Mを手に入れることができました。
 現在のグラフィックスタブレット業界の礎を築いたモデルと言っても過言ではありません。
 ただあまりにも原始的過ぎて知る人はいないし、知っていても特にメリットもはないですしね。
 ですがこのブログをご覧になっている方々はそもそもそんな無駄知識を無駄知識と思っていないはずなので(強要)、今回も無駄なことを盛大にやっていこうと思います。

 ネット上でWT-460Mの情報を調べても、あまり多くの事は手に入りません。
 画像もほぼ1種類しかないので、そこから推測することしかできませんでした。
 時々ネットオークションでの画像なんかが出たりしますが、スペックなんかの情報は当然ですが出るはずもなく、このタブレット企画を始めて以来ずっとWT-460Mの情報を手に入れる事は重要課題だったりしていました。
 それが今回、日々国内外のネットーオークションをさまよった結果、とうとう入手するに至りました。
 しかも本体のみとかではなく、箱・付属品・マニュアル・保証書までが揃っているという非常にレアな個体なのです。
 本体などの包装袋も恐らくは当時のままなようですし。
 世の中にはあるところにはあるんですねー
 ありがたやありがたや。

 これで謎に包まれていたWT-460Mの全貌を知ることができます。
 特に当時のマニュアルが読めるのがありがたいです。
 当時のマニュアルには使用方法や製品仕様が詳細に書かれています。

インタフェース仕様自己診断コマンド
 今のように細かい仕様や使い方はネットを参照してね、とかいうネット前提な仕様書ではないので(当時はネットそのものがなかったですし)、仕様や使い方は一通りマニュアルに全部書くしかなかったので、マニュアルが有ることによってでその製品についての情報が段違いに入手できるのです。
 更にはサンプルプログラムなどにより実際の製品の制御についての説明もあります。
 ありがたやありがたや。

近未来感()のあるパッケージ側面には側面図が!
 まずは化粧箱から。
 このワイヤーフレームみたいなデザインがいかにも80年代後半の感じがしますね。
 当時のセガ Mark-III SC-3000とかもこんな感じのデザインだったような気がしますし(旧セガユーザー)。

 アニメで言うと「亜空大作戦スラングル」のOPみたいな感じですかね。
 または「魔境伝説アクロバンチ」の変形シーンとか。
 よりによって国際映画社作品とか(笑)

 やっぱりその時代ならではの表現方法のトレンドがあるんですねー

袋に入ってるしwwww
 箱から取り出したところ、ほぼ未使用品みたいな美品で驚いています。
 本体は思ったより小さいですね。
 でもSDシリーズやUDシリーズでいう所の・・・・・・と言えない中途半端な大きさです。
 WT-460MではまだA6サイズとかそういう用紙を意識した板面のサイズ設定をしていなかったという事だと思っています。

これが全貌だっ!
 板面のセンサー部分にはオーバーレイシートのようなものはなく、単に窪んでいます。
 そもそもオーバーレイシートの概念がない時代のものですので、仕方ないと言えばそれまででしょうね。

迫力のパースwボタン周り
 板面の左にある4つのファンクションボタンは、マウスモードの際に使えるように右クリックなどが割り当てられているようです。
 LEDが付いているのはマウスモードや絶対座標モードのON/OFFでの際に使うようです。

 まだ絵描き道具としては初期のタブレットですし、WT-460Mが発売された1986年はMacintosh黎明期でして、やっとMacintosh IIが発売され始めた頃です。
 後のSDシリーズではMacintosh用ドライバが添付されていましたが、WT-460Mの時代はまだ特定機種のドライバなどなかった時代です。
 ユーザが使用したいアプリケーションが対応するデバイスを購入していた、またはそのデバイスに対応するアプリケーションを自ら作成していた時代です。
 更に国内のPCではグラフィック性能においてMacintoshに匹敵するものは無かった時代ですので、グラフィックスタブレットというもの自体がオーバーテクノロジーというべき時代背景でした。


この高級感謎の黒帯は一体・・・
 またペンも思ったより・・・・・・太いです。
 やっぱり新社会人になって祖父や叔父などからもらったペンを彷彿とさせるデザインです。
 WACOM刻印が得も言われぬ高級感を醸し出しています。

素っ気ないペンケース
 謎のペンケースも付いてきます。
 なんですかね?
 Intuos5(13HD以降で採用)のプロペン的なイメージですか?

マニュアル該当部
 そこでマニュアルを見ると、なんと!!
 このペンはななんとなんと!! 充電式でなのですよ!!!(広川太一郎風)
 WACOM製品はペンに電源を積まないのが売りだったのですが、初代のWT-460Mのペンは充電池を搭載していてなんとこのペンケースで充電するのです。

充電中wwww
 すげえ!
 ペンケースにACアダプタ用の端子が付いてる!
 それはつまり、WT-460Mはまだこれが特許の「電磁誘導方式」ではないことの証左の他ありません。
 WACOM歴代タブレットの中でも電磁誘導方式ではないタブレットは、この初代・WT-460Mだけでしょう。
 いや、マニュアルを見ると「磁気結合型電磁誘導方式」と明記されているではありませんか!
 まだ研究初期の為なのでしょうか、ペン側に電源が必要となっています。
 電磁誘導方式はバッテリーレスっていうのが当たり前な認識だったので、つい電磁誘導方式じゃないのでは? と思っていましたが、マニュアルはよく読むものですね。
 そういう意味においても貴重な機体だと言えます。

製品仕様について
 更に、ペンの筆圧についてもマニュアルには特に記載がないので、おそらくこのペンはデジタイザ(位置情報のみを板に返す)としての機能以上はなかったと思われます。
 筆圧以前にペンでのクリック機能がまだ実装されていないので、その代わりに板面側にクリック用のスイッチが付いている、という事なのだろうと思います。
 このような経緯で付いているスイッチなので後継のSDシリーズでは、ペンによるクリック→筆圧機能が実装されるとファンクションボタンの必要がなくなり廃止された、という事なのでしょうか。

 それを証明するのが次に紹介するマニュアルに載っているサンプルプログラムです。


マニュアルにプログラムが載ってる・・・
 サンプルプログラムは4つある一番上のボタンを押すと、今とその前にあった座標との間にLINE文で線を引くというものです。
 このサンプルプログラムによってWT-460Mの仕様がほぼ解ってしまうわけなのですが。

N-88BASIC(86) Ver.6.2ですよ!
 その前に、このプログラムの背景というか概要が必要ですね。
 このプログラムはN88-BASIC(86)かIBM 5550用上で動くBASIC言語のプログラムで、N88-BASIC(86)はNEC PC-9801シリーズ上で動くBASIC言語です。
 PC-9801DAとかそのあたりの機種を購入するとMS-DOSは別売だったのですが、N88-BASIC(86)のシステムディスクは標準添付されてきます。
 また、PC-9801シリーズにはROMにBASICが焼かれており、ディスクを入れずに起動させるとこのROM BASICが起動するようになっています。
 このN-88BASIC(86)はPC-9801における当時の標準的な(=最低限の)開発環境ということになります。
 ボクは当時PC-9801RX21を中古で購入たときには、BASICを経由せずに真っ先にMS-DOS環境を手に入れましたのでPC-9801でBASICでプログラムを組んだことはほぼありません。
 それは過去にMSX2でBASICの洗礼を受けていたということが大きかったのですが。

懐かしいBASIC画面
 今回この企画のためにPC-9801DAに標準で添付されていたN88-BASICのシステムディスクを読み込んで、ワークディスクを作ってそこにプログラムを打ち込んでSAVEするとか、MSX2で30年近く前にやっていたことをBASICなんてほぼ使ったことのないPC-9801でやることになりまして、懐かしい気がするけど微妙な新鮮さと実はよく知らない事があり戸惑ったりと、作業中は複雑な心境だったりしました。
 でもまあプログラムが実際に動くようになると、この素朴な画面と地味な動きなので感慨に耽ることもないのですが、モノを意図した通りに動かすということに関しては若干の快感を感じたりしました。
 このようなちょっとしたDIY体験は心地よいものですね。

 ともかくこのマニュアルのサンプルプログラムはPC-9801最低限の環境でこの『タブレット』というもので何ができるのか、ということをアピールする目的があったのでしょう。
 誰でもBASICでこのタブレットを制御して簡単に使うことができますよ、的な感じですかね。

200ラインで描いてますね
 ここからが本題なのですが、プログラムを見ていくとWT-460Mはやはり筆圧というかペン先でのクリックができない仕様だと言うことが解ると思います。
 それはプログラム中の「ペンスイッチ1がONならばラインを引く」というところですね。
 つまりスイッチ入力がなければ入力と見做されないというわけです。それ以上でもそれ以下でもなく、筆圧による入力ではないということです。

 そこから導き出される結論は、WACOMが最初に販売したタブレットはタブレットというか単なるデジタイザというべき商品だったのです。
 WT-460MはWACOM製品の後の特徴となるバッテリーレスのペンや高度な筆圧入力の何れもが未実装だったという意外な製品だったのです。

この昔ながらのデモ画面wwwww
 いやービックリしましたね。
 WACOMタブレットといえば解像度の高い筆圧は当たり前、電磁誘導方式による電池レス上等だと思っていただけに最初期の製品では実はそのどちらも実装されていないという意外な事実にただ驚くばかりでした。

 WT-460Mはタブレットというよりほぼデジタイザというような性能の製品でした。
 確かにこの時代背景的にはグラフィックスタブレットなどというものは姿形もなく、後継のSD~UDシリーズまでは他社デジタイザとの互換機能を搭載してます。
 WACOMはもともとデジタイザの開発していて、その過程でバッテリーレスのペンや筆圧調整技術を発展させていった結果、デジタイザからグラフィックスタブレットへと製品が進化していったということでしょうか。
 WT-460Mの時代はまだWACOMの立ち位置は先行するデジタイザメーカーに追い付くことに主眼が置かれていたのではないかと。
 ですが恐らくはWT-460M開発の時点で、後継のSDシリーズについての基礎研究なり試作なりの予定ができており、将来の量産を目的とした試作的な位置づけだったのかなとも勝手に推測したりしています。

 いずれにせよこのWT-460Mでは色々な発見があり、黎明期の製品っていうか古いハードウェアはとても味わい深いことを再度確認しました。
 いやーオールドハードウェア、楽しいですね。
 
 それではまた!
| ヲタク::PCとか | 09:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
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